カナリヤ響子ブログ

日々淡々と綴る。今日という日を忘れないように。自分らしさを忘れないように。

さようなら、千歳烏山。ありがとう、千歳烏山。(3)

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先日、千歳烏山駅に南口から入ろうとした時、駅の北側にある千歳烏山区民センター前広場があることを思い出した。


結構大きな広場でベンチもあるから、おしゃべりするのに最適なスペースだった。


前記事でもお話ししたように、彼女に教えてもらったため息のおかげで、半年間この街で過ごすことができた。


つまり、半年間ちゃんと仕事を続けられたのだ。


いつの日か、時々意識的にもらすため息は、お守りのような存在になっていた。


だけど私は、順調に続けられていた仕事を突然やめた。


「実家に帰ることになりました。」と言ってやめた。


それがだいたい半年後くらい。


もちろん理由はソレじゃない。


ある人との口論が原因だった。


ある人というのは、同じ仕事場で働いてた男性。


俳優を目指して養成スクールに行っていると話してた。


養成スクールがどんなところなのか、いまいちわからなかったけど、彼の目はいつもキラキラしていて、とにかく楽しそうだった。


私たちは仕事の後に必ず一緒に帰るほど、仲が良かった。


とは言っても、関係は友達だった。だって私には恋人がいたから。


決まって帰りに寄ってたのが、千歳烏山駅の北側にある千歳烏山区民センター前広場だった。


ベンチに座って缶コーヒーを飲みながら、将来の夢について語り合った。


最初は私も作詞や作曲の話をしていたけれども、そこからはいつも彼が主導権を握って話を広げていくから、次第に私は聞き役に徹することになる。


そうしているうちに1時間、2時間と時間が過ぎ、私が「あ、もう帰らなきゃ。」と言ったところでお開きなのが毎度のパターンだった。


口論をしたあの夜も、毎度の流れでお開きなはずだった。なのに、、、彼が投げかけた一言が私の耳に痛く刺さり、珍しく私は取り乱してしまったのだ。


今でもまだ、自分が吐いてしまった言葉に後悔している。


何度も何度も考え直した末に、私が間違っていたと思えるようになった。


だから、仲直りがしたいんだけど彼に会ったのはあの口論の日が最後で、あれ以来彼は仕事場からも、私の前からも姿を消してしまった。


彼は俳優を目指して上京していた。私はシンガーソングライターを目指して上京していた。


夢があって上京していた点は同じだったけど、夢に向かっていく上でのがんばり方については、かなりの違いがあったと思う。


彼は頑張りたいから頑張っていた。私は頑張らなきゃいけないから頑張っていた。


こうやって文章にしてみると、文字的には4文字から5文字程度しか違わないけど、意味的にはかなり違う。


頑張りたいから頑張っている彼の瞳はいつもキラキラしていて、本当なら憧れるはずなんだけど、当時の私にとってはうらやましいと思うだけで精一杯だった。


こんな風に頑張れたらなぁと思いながら、彼の話に必死で耳を傾けていた。


彼が吐く言葉には熱がこもっていたから、温度がなくなっていた私の心が一時的に熱くなるからそれが心地良かったのだ。


彼の横顔を思い出しながら、千歳烏山の駅で電車を待ってる時にふと思った。


「頑張りたいから頑張っている

うん、たしかに、それもいいけど、

楽しいから頑張っている

の方がもっと羽ばたけるんだと思う。」


多分私は、どこかで食い違って力が入りすぎて、忙しい毎日の中、どこで力を抜いたらいいのかわからなくなってたんだ。


だからもう、ヘトヘトに疲れていたんだね、心が。


本来の私のように、


「やっぱり、楽しいからね、

今日もなんとなく頑張っちゃうね。」


みたいなノリで、軽快に過ごせればよかったのかも。


ノリって大事よね。リズムがあるからね。


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ところで彼の夢は叶ったのかな?


俳優にはなれたのかな?


映画やテレビで彼の名前が出てこないか、こっそりチェックしてるけど、残念ながら出てこない。


あの頃の彼は頑張りたいから頑張っていた。


いつもキラキラした目で本当に楽しそうに話をしていた。


だけど、あの口論のやりとりを思い出すと、私とは違った感じで、彼も心が疲れていたのかもと、今更ながら思う。


当時の私には、そう受け止めることができなかった。


きっと今の私なら、何も言わずに包んであげられたのかもしれない。


だけど、私にはそんな余裕がなかったし、包んであげる人は私じゃない方がよかったのかもしれない。


そんなことを考えながら千歳烏山駅のホームで電車を待っていると、少しだけ強い風が頬に当たった。


そういえば今年の冬はとってもあったかいなぁ。


頬に当たった冬の風も、ちょっとあったかい。


そんなことを考えながら、思い出したようにポケットからスマートフォンを取り出した。


さて、次はどんな記事を書こうかな。


毎日こうやって、自然に仕事のことを考えられるのがとっても幸せ。


頑張ると言うより楽しんでいるから。


でも時々は、プレッシャーとかに押しつぶされそうになるけど、それもひっくるめて楽しい。


今私がこうやって、幸せに暮らしていること。


それも彼に伝えたい。


そして、新たに曲を作ったら、実は彼にも聞いてもらいたい。


この冬のちょっとあったかい風が、私の今のこの想いを彼のもとまで届けてくれないかな…。


ぼんやりとそんなことを願いながら夜空を見上げていると、新宿行きの電車が到着した。

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さようなら。千歳烏山

ありがとう。千歳烏山

横浜が待ってるから、そろそろ帰るね。


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